人工知能(AI)と働き方の雑感

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将棋の藤井壮太四段の一挙手一投足が報道されていたのが、少し収まりました。藤井四段の繰り出す手と、人工知能(AI)が導き出した手をしばしば比較され、AI自体についての解説も目にすることが増えました。初めて「AIって凄いことになってるな」と思った方もあるかもしれません。私も、AIについてその程度の認識でした。

6月25日に放送されたテレビ番組NHKスペシャル「人工知能 天使か悪魔か2017」をみました。番組の始まりはやっぱり将棋の世界でした。番組では、「もはや人間など敵ではない。人工知能はモンスターのような進化を遂げている」と言っていました。

「人工知能 天使か悪魔か2017」

名古屋のタクシー会社の例が紹介されました。日にち・曜日・時間帯の情報、近隣の催しの情報、天気の情報、ケータイやスマホのGPS情報といった様々なビッグデータと、過去にどんな客をいつどこで拾って、どこで降ろしたか等過去に蓄積された会社独自の情報をAIが解析し、タクシー運転手に現在地からどの道をどう走ればお客が拾えるとの指示をリアルタイムに指示するシステムを導入。まずは新米運転手に導入したところ、売上が2割アップしました。その実績をもとにベテランにも導入することになり、ベテラン運転手にも拡大。そのタクシー会社では、今後全社に広げていくということでした。

その他、米国では刑務所の受刑者の再犯率をAIが膨大な過去の受刑者情報から予測し、実際に刑期までも左右されている現状があるということや、日本のある企業の人事部門で、面談情報に記載されている単語と配置からが退職の兆候を予測し、それを活用している例が紹介されていました。

 

現実社会で・・・、

もう、そんなことになっているの?!と驚愕していた矢先、東京在住の後輩に会う機会がありました。彼女は、大企業の人事労務部門に勤務しています。

1年半前に会った際には、

「忙しいのに、人のリストラをせねばならない。」

と悩んでいました。

今回、彼女は、

「私たちの仕事がどんどんAIに切り替わってきて、本当に人がいらなくなってきた。」

と悩んでいました。

「AIがほとんどのことをやってくれて、私たちの仕事は、それを確認するだけになりました。社会保険処理の担当だった後輩は『私はこんなことをするために入社したのではない』と言って、退職届を提出しました。」と言っていました。

テレビ番組よりもっと生々しいだけに、この話しは、私にとってさらに衝撃的でした。

 

ひとり暮らしの40代が日本を滅ぼす?!

7月22日に、今度は、またNHKスペシャルですが、「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」をみました。「どうしたらニッポンの未来は明るくなるの?」というお題を解決するため、人口動向、介護、医療、消費当5000を超える公共のデータをAIが解析しました。

AIが導き出した結論は「ひとり暮らしの40代が日本を滅ぼす」という突拍子もないものでした。これまで誰も指摘したことのない視点です。

しかし、分析内容を聞いてみると納得のいくものです。役所の職員の方々も、「ひとり暮らしの40代」は、まったくノーマークでした。もっとも役所と接点のないこの人たちが、今後の日本を左右するカギを握っていると新しい視点を得られたようでした。

AI活用は今後も進展していくでしょう。後戻りすることはないし、また、技術の進展は、ある時期から急カーブを描き関数曲線的に進展していくと言われています。私たちの働き方は、根底から変わってしまうかもしれません。想定よりずっと早く。もっと根底からの「働き方改革」がすぐそこに迫っているのかもしれません。

アイさぽーと様:社労士コラム2017年8月1日掲載

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