労務管理

人事労務管理のポイント:未成年者と労働法

先日、成人年齢を現在の20歳から18歳に引き下げる民法改正案が国会に提出された。成立すれば2022年4月からの施行が予定されている。すでに選挙権年齢は、公職選挙法改正により18歳に引き下がっており、2016年の衆議院選挙が、18歳以上が有権者となった初の国政選挙として注目されたのは記憶に新しいところである。

成人年齢の引き下げは、今後社会生活の様々な場面で影響を及ぼすことが想定されているが、労働基準法を中心とした労働法制への影響はどうなのかを少し確認してみよう。

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労働時間管理の実務対応と法制化への動き

今年1月20日に厚生労働省から「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(以下、「労働時間の適正把握ガイドライン」という)が公表されました。今後行政(労働基準監督署)はこのガイドラインをもとに企業を指導することになりますので、その内容をよく理解し実務対応する必要があります。

一方、長時間労働の是正は現在議論されている「働き方改革」の目玉であり、前回(4月Vol.65)ご紹介した「働き方改革実行計画」にも罰則付きの時間外労働の上限規制という項目が盛り込まれました。これを受けて、労働政策審議会は「時間外労働の上限規制等について」6月5日に建議を行いました。今後この方向で法制化に進んでいくことが予想されますので、こちらも注目しておきたいところです。

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人事労務管理のポイント:賃金所感

ここ数年「わが社の賃金制度を抜本的に見直したい。」という相談が増えてきている。

具体的な内容は多岐にわたっており、例えば「制度が年功的で、評価によって賃金額にあまり差がつかない。」「このまま定期昇給を続けていくと人件費が相当膨らんでしまう。」「賃金水準が世間相場と比べて低く優秀な人材が採用できない。」といった悩みを抱えてのご相談である。賃金制度には、社員の側から見た公平感や納得感とともに、当然ながら自社の支払い能力からみた合理性や世間相場への対応等も求められてくるが、これらは相反するニーズである場合も多く、それぞれのバランスと優先順位を考慮しなければならないところに難しさがあろう。

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『育児・介護休業法』『男女雇用機会均等法』の改正に伴う実務対応上の留意点

「改正育児・介護休業法及び改正男女雇用機会均等法」が、本年1月1日より施行されております。すでに、就業規則や労使協定の見直し等については、各会社様とも対応済みとは思われますが、今回の改正内容は、その解釈に誤解が生じたり運用面で疑義が生じたりする箇所も多いように感じております。そこで今回は、育介法・均等法の改正内容を今一度確認するとともに、実務対応上の留意点等について解説していきます。

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マタニティハラスメントが投げかけるこれからの働き方

厚生労働省は初の実態調査として、働く女性の21.4%が、妊娠・出産・育児休業などを機に、職場で不利益な取扱いを受けたり、精神的、肉体的な嫌がらせを受けたりする「マタニティハラスメント(マタハラ)」を経験したと考えていると発表しました。(「日本経済新聞」2016年3月5日)

近年、職場におけるハラスメントに対して社会の関心も高まり、リスク管理と生産性向上の観点から、その予防と解決が人事管理上の大きな課題となっていますが、特にこの「マタハラ」の問題は、今後の「働き方」「働かせ方」に関する問題としてこれから益々注目を集めることが予想されます。

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労働基準法改正案の概要

今回のPOINT

・労働基準法の改正案が今後の国会で審議される予定です。
・改正の方向性は、「働き過ぎ防止(長時間労働抑制・年次有給休暇取得促進)」と「働き方改革(多様で柔軟な働き方の実現)」の2つです。
・この改正案では、労働時間制度(労働基準法第4章「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」の部分が大きく見直され、時間外労働や年次有給休暇、フレックスタイム制及び裁量労働制の改正と高度プロフェッショナル制度の新設が主な内容となっています。

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ストレスチェック制度の概要と導入への対応

労働安全衛生法が改正され、2015年12月1日より、「ストレスチェック制度」が義務化されます。法改正後、厚生労働省から、ストレスチェック制度に関する省令、指針(「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並び
に面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」)、Q&A、実施マニュアルなども公表され、その概要が明らかになってきました。制度導入にあたって企業に求められる対応について考えます。
(ご参考:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000082587.html

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若手社員の定着と育成が支える企業の成長

厚生労働省が、9月10日に発表した労働経済動向調査によると、景気の回復傾向が影響し、正社員が「不足」と答えた事業所の割合が2008年2月調査以来の高水準となり、人手不足感が強まっています。また長期的にみても、労働人口が減少していく中で、働き手、特に若手社員を確保しておくことは、事業規模の大小を問わず重要な課題となっています。

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